永井マザーズホスピタル

栄養科ブログ

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2020年3月25日の記事

健康診断の落とし穴

妊娠糖尿病と診断された方からよく聞くお話。

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妊娠前に会社で行った健康診断では

血糖値異常なしって言われていたのに……。

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わかります。

でも健康診断で見るのは、ほとんどが空腹時血糖値。

空腹時血糖値で診断される妊娠糖尿病は少なく、

食後高血糖で診断される方ばかりなのです。

空腹時血糖値と食後血糖値 の違いについてぜひ知ってほしいです。

社団法人日本糖質制限医療推進協会の理事長

江部康二先生の配信ブログからご許可をいただき、

下記に添付します。

■ 糖尿病早期診断には、空腹時血糖値より食後血糖値が大事

 

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職場の健康診断では、糖尿病チェックのため、早朝空腹時の血糖値とHbA1cを検査します。

 

これは普通の企業は勿論のこと、医療機関でも同様です。

 

空腹時血糖値は、

 

・110mg/dl未満=正常型

・110~125=境界型

・126以上=糖尿病型

 

75g経口ブドウ糖負荷試験で食後2時間血糖値は、

 

・140未満=正常型

・140~199=境界型

・200以上=糖尿病型

 

と定義されています。

 

しかし、食後の高血糖が数年間続いてから、はじめて空腹時血糖値が境界領域に悪化してくることがほとんどです。

 

従って、今の健康診断のシステムでは、初期の糖尿病を見逃してしまう可能性が極めて高いのです。

 

食後の血糖値を測定すれば、境界型や初期の糖尿病をチェックできるのですが、現実には行われていません。

 

私も、高雄病院という医療機関に1978年から勤務しているのですが、年一回の職場健診は早朝空腹時の採血でした。1997年には107、1998年には115、1999年には112mg/dlでした。

 

両親ともに糖尿病なので「境界領域か。そろそろ糖尿病やばいかな?」くらい軽くとらえていたのです。

 

今から思えば、この時点で充分食後高血糖だったのです。

 

そして2002年、たまたま主食(糖質)摂取後1時間の血糖値を測定したら250mg/dlあり、HbA1cは6.7%で、糖尿人確定となったのです。

 

胚芽米の炊いたご飯を一人前食べた結果です。念のため玄米の炊いたご飯を一人前食べたときは、228mg/dlくらいでした。

 

確かに玄米のほうが胚芽米より食後血糖値は低めですが、所詮は200mg/dl以上であり、合併症予防という点で、臨床的には無意味です。

 

現在、糖尿病でない患者さんにも、主食(糖質)摂取後、1時間あるいは2時間の血糖値測定を勧めて、糖尿病の早期発見を目指しています。

 

食後1時間値が、180mg/dlを超えていれば、食後2時間値が140mg/dlの正常型でも、将来糖尿病になりやすいので注意が必要です。

 

正確なデータが必要なときは、75g経口ブドウ糖負荷試験を実施します。

 

しかしそれは、検査代もいるし、2時間以上時間がかかるし面倒くさいです。

 

普通に糖質のある食事(ご飯とかパンなどとおかず)をしたら、ほとんどの場合1回の食事の糖質量は70~80gあるので、それで充分代わりになります。

 

午前8時に食べ始めたら、午前9時が食後1時間で、午前10時が食後2時間です。

 

さらに簡便には、ドラッグストアで尿糖試験紙を購入して食後1時間~2時間の尿糖を測定したらいいです。

 

これなら医療機関に行く必要もないので安価ですね。

 

尿糖が陽性なら、食後血糖値が180mg/dlを超えている可能性が高いので、医療機関で精査が必要です。

病院に行かなくてもチェックできる方法も記載されていますね。

皆様の糖尿病の予防につながりますように♪

身体のケアを大切に(*´ω`*)

matsumoto